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好きにしていいよ

第5章 年下の男の子





撮影現場に辿り着くと、子犬のように駆けつけてくる男。

昨晩いろいろ考えたせいで、一睡もできなくて少し身体がダルかった。




「おはよ~ゆうちゃん」

「あっ…おはよ、ございます…」




今日が初顔合わせだよな…

樋口大貴はやけに人懐っこくて、これじゃまるで5歳児の子供だし。

それにメールでも気になったんだけど、なんだよゆうちゃんて。




「メール見てくれた?俺、ゆうちゃんのファンでさ。ずっと会いたくて、オファーがきた時すっげー嬉しかったんだよね」

「あの…ゆうちゃんて…」

「ごめん!嫌だった?ファンの間じゃゆうちゃんて呼ばれてるの、つい俺もゆうちゃんて言っちゃうよね」




初耳だな…

そんな風に呼ばれてたなんて、知らなかった。

とてもじゃないけど樋口大貴は、タチをするような男だと思えない。

実年齢よりもずっと幼く見えて、俺なんかより可愛い顔してるし。




「俺のことだいちゃんて呼んでよ!それと敬語はやめて。年齢も近いしさ」

「ショタ…」

「えっ、何か言った?」

「ううん、なんでもない」




なんで事務所は、樋口大貴をタチで売り出してんだろう。

どう見てもネコだし、幼い顔はショタでもやっていけそうだ。




「今日はよろしくね!ゆうちゃん!」

「こちらこそ、よろしく」




がっちりと握手した手は、俺なんかよりゴツくて意外と男らしい手だ。




『ゆうちゃんのこと…滅茶苦茶鳴かせて見せるから…』




ドキリとした…

耳許で囁かれた樋口大貴の声が、あまりにも低くて甘い…




可愛い顔して……




やっぱりコイツは男なんだと実感した。







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