君はぼくの全て
第10章 特別授業 4
「だって、俺から目を逸らしたんだよ」
「へー」
「いつもはニコッて、笑ってくれるのに」
「ほー」
「ちょっと聞いてる?!」
「あ、予鈴」
「もうっ!!」
何でこのタイミングなの!
でも早く戻らないと。1時間目は怒らせたらヤバい先生だ
「潤くんのバーカ」
たらたら歩く潤くんの横を、悪態突きながら走り抜ける
だから
…まーくんの、視線には全然気付いてなかった
そして
「あ、潤!…後で、いい?」
「おうよ」
なんて、まーくんが潤くんを引き留めたのも、もちろん知らない
席についてからも、考えるのはまーくんの事ばっかりで
前みたいに浮かれてたのとは一転、気を抜けば泣きそうなくらいに辛い
まーくんの笑顔がないだけで
“かず“ って呼ばれないだけで
先生が入ってきたと同時に静かに立ち上がった
「二宮、どうした?」
「…気持ち悪いので、保健室行かせてください」
座ってるのも、辛い