
君はぼくの全て
第10章 特別授業 4
にかっと笑う先生の目は優しい
大人の余裕だか何だか分からないけど、先生が言うならその通りな気がするから不思議
まーくんは俺を嫌わない
まして俺がまーくんを、なんてのはありえない
そんなの、分かってる事じゃんね
「先生、キャラメルありがと。教室戻ります」
「おー。しっかり飯食えよ」
「はーい」
元々具合悪い訳じゃないから元気に返事
何も聞かずに寝かせてくれた先生には感謝しつつ
勢い良く保健室のドアを引いて飛び出そうとした瞬間
「うぷっ」
前に進む事が出来ず、柔らかい壁に全身で体当たりした
ん?
この匂い。俺の大好きな匂い
…俺が間違える訳、ない
そして俺を受け止めた、優しい腕
顔を上げなくてもすぐに気が付く俺、やっぱ凄い
「かず」
ほらね
やっぱりまーくんだ
顔を上げれば、…笑ってはいないけど、怒ってもないまーくんがいる
飛び込んだ俺を包むように回される腕は、強いのに優しい
