君はぼくの全て
第10章 特別授業 4
口の中に溶ける、懐かしい味
そう言えばキャラメルなんか、いつ食べたきりかなぁ
サイコロの箱に入った2個入りのやつを、まーくんと分けて食べたの思い出した
ー…かずくん、はい、半分こ
ー…まーくんのだから、いらない
ー…半分こしようよ
ー…だってぼく、もう2つ食べちゃったもん
ー…一緒に食べたらもっと美味しくなるから食べて
ー…ありがと、まーくん
まーくんって、小さい時から優しかったなぁ
「おーい、二宮?」
「もう!、思い出に浸ってたのに」
「食ってからにしろ。喉につっかえる」
「まだおじいちゃんじゃないもん」
「アホか。んなもん年齢関係ねぇっつの」
「むぅっ」
だけどここは先生の言うとおり
黙って口の中で転がしてキャラメルを小さくしていく
…万一つまったら、恥ずかしくて死ねるし
「ねぇ、先生」
「あ?」
「謝りたいのに避けられたら、どうすればいい?」
「んなの、無理矢理掴まえるに決まってんだろ」
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