君はぼくの全て
第1章 1時間目
大通りの交差点で智とバイバイして、ここからは二人だけの帰り道
さすがに手を繋ぐのは出来なくて
だけどやっぱりくっついていたいから、腕が歩く度に触れる微妙な距離を取る
どんなにゆっくり歩いても、いずれは家に着いてしまうのは分かっているのに毎日寂しいとか
まーくんといると俺はどんどん欲張りになるみたいだ
毎日顔を見て、毎日メールも欠かさないのに、それでも足りない
もっとまーくんと一緒にいたい
玄関前に着いてもなかなか中に入ろうとしない俺に
ちょっと周りをキョロキョロ見渡したまーくんが俺の頬に触れた
チュッ
そして反対の頬にキスをしてから、少し顔を赤くして
「また明日ね」
くるりと踵を返して、俺の前から走り出した
恒例になってる一連の流れだけどさ
これはこれで幸せなんだけどさ
……そろそろキスする場所、変えて欲しいな
「…鈍感」
走り去る後ろ姿に小さくぼやいてから
中に入るべく、玄関のドアを開けた