君はぼくの全て
第2章 2時間目
「…明日8時半に迎えに行くね」
俺の返事は待たずに、照れくさそうに笑ってすぐに背中を向けた
その顔とは裏腹の、あまりにそっけない態度に胸がツキン、とする
ー…なんで?
段々と遠くなる背中が、いつもの事なのに急に怖くなった
変なの
いつもと同じバイバイなのに
それに明日は1日デートで
楽しみで楽しみで仕方ない筈なのに
しかも今日は、初めて手を繋いで歩いたのに
ああそうか
期待、じゃなくて絶対っておかしな確信を持っちゃったから
いつもとちょっと違った帰り道だし
まーくんだってそのつもりなんだと勝手に決め付けてた
なのに
バイバイのチューはいつもと同じほっぺたで
いつもより長い訳でも、ぺろっとしてくれる訳でもない、軽く触れるだけのそれが
何だか俺とまーくんの距離に感じちゃったんだ
欲しがるのはいつも俺で
まーくんは笑いながらそれに答えてくれるだけ
嫌がったりしないし、今日みたいなサプライズもたまにはあるけど
でもやっぱり何か
……ちょっと寂しい