
君はぼくの全て
第5章 5時間目
「別に。体操してるだけ」
「あっそ」
何なのこの空気
変に身構えちゃうのは、潤くんの顔が濃いからだ
大きくて鋭い目の威圧感が凄いからだ
だって目が合うと何もかも見透かされるみたいでいたたまれなくなる
何も言われないと変な汗が流れる気がする
「なぁ、にの」
正面を向いて、どこを見るわけでもない視線のまま、潤くんが呟いた
「なに?」
「その顔、どうにかなんない?」
「は?」
「気付いてねぇの?ずっとにやけっぱなしなんだけど」
「え、嘘っ!」
ペタペタ自分のほっぺたを触りまくったら
「マジで分かり易っ!!」
潤くんが盛大に吹き出して爆笑した
「何が!意味分かんない」
「バカップルなのは変わんねぇけど、空気が違う。違いすぎる」
「は?」
「もうさ、駄々漏れすぎだっつーの」
「だからって耳引っ張る?」
さっき、本当に痛かったんだけど
「そこはほら、不細工を直そうと」
いや、もっと意味分かんない
