君はぼくの全て
第5章 5時間目
「いっ…いけない?」
「悪いなんか言ってねーし」
「じゃあ、何でそんな事聞くのっ」
「おもしれーから」
しれっと言うな
確認完了なのか、そこで潤くんの尋問はぴたりと治まった
つまりえーと
ただ単に俺を揶揄いたかっただけって事ですかそーですか
もう!
こうなったら智で解消してやる
…だって潤くんには、悔しいけど口では敵わない
******
「お待たせーっ」
うるっさい声が離れたとこから聞こえた
ぶんぶんと手を振る智と、隣を歩くのはもちろん
「まーくん!!」
ベンチから勢い良く降りて、ボルト真っ青なスピードでそちらに向かって走り出した
いや、ボルトは言い過ぎか、まぁいいや
「犬か」
潤くんがそう呟いたのは聞こえなかったけど
「おかえりーっ」
走った勢いそのままで抱き着くのをしっかりとまーくんが受け止める
うん、頼もしくてやっぱりカッコいい
「楽しかった?」
「うん、気持ち良かった。ありがと、かず」
俺に感謝なんか必要ないのにね
ホント優しいから好き