君はぼくの全て
第6章 6時間目
何が “いちゃついてるかと思った“ なのさ
思ったんじゃなくて、見たからわざと出て来たくせに
まーくんとのちゅーも、ばっちり見られたって事か
…にしては母さん平然としてたなぁ
少しもうろたえた様子なかったし
そこも気になるっちゃ気になるけど、そこはまぁ、母さんだからなぁ…
「入ろ」
でもいつまでもそこにしゃがみこんでるのも疲れた
仕方ない、覚悟決めますか
が、そーっと音を立てないように玄関ドアを閉める小心者な俺
コソドロじゃあるまいし、って思うけど、どこかで母さんに見つかりたくない気持ちがやっぱりある
だけど
「かーずーなーりー」
「うぇぇ…」
その淡い期待はいともあっさり打ち砕かれた
目線だけで “こっちに来い“ と無言の圧力が怖い
何言われるんだろう
……やっぱり、性別?
まぁ、普通の親なら反対するし怒るよね
男女交際とはまた違うから
「座って」
……母さんの顔がやたら楽しそうなのは気のせいかな