テキストサイズ

LGBT~愛とは~

第1章 1章ーゆうきー

あの日、僕のことを十二分に理解していてくれている大親友の円香が、手術室の前にある丸椅子で手術中の数時間の間、ずっと僕を待っていてくれた。
アルコールの匂いが充満する病院の廊下で一人で待つなんて心細かったであろう。
僕が手術した病院は、タイだったので、病院で雇われている日系タイ人の通訳さんくらいしか僕以外の話し相手がいなかっただろうし、ましてや、話すことなんぞ手術の話ぐらいしかなかっただろう。
もし、手術が失敗した時の為の遺書も取り敢えず書いておいたので、彼女に託していた。
手術後、眠っていた僕の手をずっと握りしめて、僕を彼女の穏やかな瞳で見守ってくれていたようだ。そんな優しい彼女だからこそ、僕は彼女のことを好きになったのかもしれない。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ