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月明かりの追憶

第4章 募る想い

原因は分かっている、北山が陵辱されるのを見てからだ。



二「待てぇーミツ」

北「待てと言われて待つバカはいねぇよ、カカカッ」



ダダダッ!



藤「くっ」

横「あのな太輔」



何かを察知したかの如く、健永が二人の傍へ近づく。



千「ねっ、そろそろやめた方が」

二「ミツ捕まえた、ギュウ」

北「うわっ、潰れるぅ」



バンッとテーブルを叩いたら、ピタッとその動きが止まり。



二「ガヤ、もしかして怒っている?」

藤「ふんっ」

二「わっ、超怒ってるじゃん」

北「なんだよ、その態度は」

藤「はっ?」

横「やめな太輔」

藤「ちっ」

北「‥‥‥」



腹が立つ、なんでだか俺は北山のやることなす事が気に入らず。



横「ふーっ」



分かっているよ、わた。



横「ちょっといい?」

藤「なに?」

横「忠告しとくね」

藤「‥‥っ」

横「執着心は人の心を壊すあの男みたいに」

藤「別に俺は」

横「じゃなんでそんな眼でミツを見てるの?」

藤「それ…は‥クッ」



気づいてしまった自分の気持ち…



横「愛情の深さと執着するとは別もんだってことくらい太輔だって分かっているでしょ?」



あぁ知っている、ならどうして苛々しているんだ俺?



「芽は出た、お前の中に」



えっ、今なんか聞こえた?



「ふふふっ、捕らえたぞプリンスの闇を」



人の心には後悔や心残りが常に存在している、無いなんて奴はいないと思うし。

ときにはそれが前世の自分だったり、けど今を生きる俺はそのことに気づかなかったんだ

あいつの記憶が戻って俺達の絆は更に強くなり、もう何があっても崩れやしないとそう思っていたのに。

その潤んだ瞳が忘れられない、恥じらう北山、ジッと見つめる眼。

俺の名を切なそうに呼んだ声、もう1度 聞きたい。

そんな欲望への誘惑が、どうしようもなく湧いてきて堪らなくなり。

俺は必死で堪えていた、あいつを欲で汚すわけにはいかないから。




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