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千年の花嫁

第17章 平穏な日々

・戸塚side

不安が、そんな幻聴を俺に聞かせたのか?

この日―



戸「蓮も眠たそうだし部屋で少し休んで来るね」



そう言って、ハッシーや宮田の傍を離れたのは昼ちょい過ぎだったろうか。

お腹の子は4ヶ月半―

悪阻も治まり、一段落した時期で少し油断していたのかもしれない。



蓮「スースーッ」



腕の中で眠る蓮を見ながらボーッとしていたら。



「…太‥祥太」



えっ?この声は!?まさか、母さん。



「祥太、ここにいるんでしょ顔を見せて頂戴」



そんなわけ…



「ねぇお願い神社を抜けたらここへ来たの」



神社、あの稲荷神社を?



「河原みたいな所にいるわ歩き回っていたら貴方のことを思い出し」



本当に、でも何故?どうしてここまで声が聞こえるんだろう。

そう思いはしたが…



「祥太、祥太!貴方に会いたい祥太あぁーっ」



母さん、ダッ!



蓮「どこへ行くの蓮も一緒に行く」

戸「すぐ帰って来るから」

蓮「やだっ、お母さん」

戸「くっ」



なんてバカなことをしたんだろう。



戸「じゃ言うことを聞く」

蓮「はい、ニコッ」



こんな、小さな子を連れて行くなんてどうかしてた。

後悔しても後の祭り…



妖狼「クククッ、まさか子まで連れて来るとはな」

戸「騙したのか!」

蓮「怖いよ、お母さん」

戸「くっ、蓮!ギュッ」

妖狼「旨そうな子狐だ」

戸「蓮に近づくな!」

妖狼「たかが人間に何が出来る、フッ」

妖狼「我らに腹の子ともども食われるがおち、クスッ」



ハッシー、クッ



妖狼「さて来て貰おうか」

妖狼「我らが領域の林へ」



じわり、ジワリと近づいて来る2匹の妖狼。



蓮「お母さん、ガクガクッ」



護らなければ、この子を。でもどうやって?

と、そのとき。



宮「伏せてトッツー、蓮」



宮田!?



宮「とりゃあーっ、ガッ」

妖狼「ぐわっ」



俺達の上をと飛び越え、妖狼へ飛び蹴りを喰らわした宮田は次に。



妖狼「赤狐の分際で、よくもぉーっ」

宮「舐めんなよーキッ」



ドカッ!

襲い掛かって来るもう1匹にも肘鉄を喰らわし。




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