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千年の花嫁

第20章 今を生きる

・北山side

あの激しかった妖狼との戦いから、数日が経つ。



ニ「ごっちの具合はどう」



俺とニカ、トッツーの3人は、あれから太輔たちが安全を確認したのちすぐ孤児院へ駆けつけた。

だが、その道すがらに見る周囲の状況は想像以上に酷く言葉を詰まらせてしまう。



ニ「これでまた孤児が増えてしまったな」

北「あぁ」



ここでタマは、クッ



ニ「あいつらしいよ、フッ」

戸「二階堂」



空を見上げ、涙ぐむニカ。



ニ「目の前で親を亡くした子を身体張って護るだなんてさ、クッ」



んだな、フッ

孤児院に着くと、五関は布団の上で首に白い布を巻かれ眠っていて。

塚ちゃんが…



塚「ごめんね護りきれなくて、ヒクッ」

戸「自分を責めないで」

塚「でっ、でも、ヒック」

北「奴と出会ってしまったとき五関は覚悟を決めていたんだと思う」

戸「河合の仇を討つ決心と共に」

北「だから自分を責めちゃダメだ逆に、こいつの気持ち組んでやらなきゃ」

ニ「ミツ、いいこと言うじゃん」



それから意識が戻らないまま数日、俺たちの世界で言えば植物状態に似ている。

そう、太輔が言っていた。

噛まれた場所は、急所をはずれていたとはいえ出血多量により。



玲「ただいまぁーっ」



ここには、呼吸器なんて物はない。



塚「お帰り、ニコッ」

ニ「おっ、玲流、可愛い花じゃん」

玲「うん、お母ちゃん見て綺麗でしょ?ニコッ」



五関の枕元に置く玲流。



戸「いい匂いがするね」

北「ほんとだ、フッ」



だから、呼吸が止まればそれで終り。




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