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千年の花嫁

第6章 希望の花嫁①

・横尾side

ニカが来て、5日目の朝。



横「健永、暫く留守にするから後のことは宜しく頼むね」

千「別に構わないけど何かあった?」

横「ちょっと気になる事があってさ」



昨日の深夜、確かに感じた太輔の気。俺の勘が正しければあれは…

案の定、行ってみれば1人の少年が眠っていた。

こいつの気持ち分からなくはない…が



「渉、お前に話しておきたい事がある」



あれは、空狐となった前長が神として昇天する前夜のこと。



「あいつは、この父を恨んでいるだろうが」



一族の先行きを心配し、俺に全てを打ち明けてくれたのは。



「確実ではない1つの賭けのようなものだ」



が、上手く行けば人間にも自分たち一族にとっても良い結果になるはずと。



「冷酷な父と思われようとも」



太輔の気性が分かっていたからこそ決断をした。



「しかし太輔はまた躊躇するやもしれん」



そのときは、是が非でも2人を結ばせ子を作らせろと。



「でなければ我が、あやつらを傷つけた意味がない」



あんたって人は…

あの少年の義理の弟だったニカを、俺が嫁にしたのは偶然だったが。

それが引き金となり、太輔は引き込みざるを得なくなった。

一度、踏み入れてしまった禁断の場所。

たとえ太輔が連れ込まなくても、他の一族の者が見つけてしまうのは時間の問題だったから。

きっと、弟に会いたさで何度でも足を運ぶに決まっている。

昔のように…

だから、仕方なく自分から声を掛け神社に呼び出したんでしょ二の舞を避けるため。

なら、もう覚悟を決めたらどう?後戻りは出来ないんだから。

俺は、それを言いたくて来てみたんだけどまだ時間が掛かりそ。

仕方がない、待つとするか。




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