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BLUE MOON

第9章 責任


「なるほどな」

モモが席を立つと誠はテーブルに肘をついてニヤリと笑った。

「なんだよ気持ち悪いな」

「それはこっちの台詞だよ」

雅のことがあったけど 誠には隠すことなく真っ正面から向き合いたくてモモを紹介した。

別に認めてもらおうとか気に入ってもらおうとしたわけではないけれど

「相当惚れてんな」

「うるせぇ」

俺の気持ちはわかってくれたらしい。

「雅は?」

だからと言って誠の妹をバッサリと切り捨てられるわけもなく

「おまえといつ会えるかご機嫌に悩んでるぞ」

「まだそんなこと言ってんのか」

溜め息混じりに言葉を発しながら『2ヶ月』と雅と誓った約束を守った。

「今日会うことは?」

「言えるわけないだろ」

『2ヶ月』って話しは誠も知らない。二人だけの秘密。

「で、どうするの」

「誠とおじさんとおばさんには申し訳ないけど…」

「まぁそうなるわな」

雅が作戦を実行するまでのあやふやな関係。

これが良いわけないってわかってるけど俺も酔った上とはいえ雅を傷つけてしまっているので任せるしかなく

「涼は雅にハッキリ言ってくれたし、あとはアイツが諦めるのを待つしかないな」

「申し訳ない」

頭を下げるしかなかった。

「すみません…」

「お帰り」

何も知らないモモが個室のドアを開け俺の横にちょこんと座ったのと同時に

~♪~♪

俺のスマホが鳴り響く

「誰だ?」

俺はこの時酔っていたのだろうか

名前も見ずに画面をタップして

「もしもし、桜木です」

部屋を出るべき立ち上がる。

そして相手の声を聞いて溜め息をひとつ落とす。

「どうした?」

スマホを持っていた手をモモから離れた左手に変えてドアノブを握ったとき

「…え」

俺は耳を疑った。

「ちょっと待って」

やっと緊張の糸が解れた誠とモモが笑う声を聞きながら部屋を出て入り口へと急ぐ。

「雅、落ち着いて…こないってどういうこと?」

外へ出ると電話のの声を必死に理解しようとしながら何度も聞き直す。

「待って…それって俺なの?」

いつもよりか細い返事に一気に酔いが覚める。

雅は黙りこむ俺に謝りながら

『…涼くんの赤ちゃんに決まってるじゃん』

声を詰まらせながら紡いだ。

愛する人を裏切った俺を見下ろしていた月は嘲笑うかのようにゆっくりと雲に侵食されていった。

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