BLUE MOON
第3章 鼓動
お泊まりセットが入っているバックを抱えてバスルームから出てきたモモの頬にキスをして
「いい子に待ってて」
入れ違うようにシャワーを浴びて出てくるとモモはカーテンがついていない窓の前に正座して真っ黒な空を眺めていた。
「どうした?」
小さな背中を後ろからそっと抱き寄せるとモモはまっすぐに指を指して
「月?」
「今日は月が半分だけ見える上弦の月です。」
真っ二つに切ったような月が東京の高いビルと並び 人工的な光に負けまいと光を放っていた。
「モモは月が好きなんだな」
「はぃ」
「俺より?」
「え…」
「もしかして俺、月に負けちゃってる?」
「はぃ?」
「マジかぁ…月に負けたか」
「そ、そんな事!」
振り向いた顔は化粧を落としているからかさっきよりも赤みが濃く見える。
「あっ!見ないで下さい!」
…煽るねぇ
「素っぴんはNGなんで…」
モモは素早く両手で小さな顔を隠してプルプルと顔を振る。
「なるほどね、だから後ろ向いてたんだ」
「…はぃ」
指の隙間から瞳を覗かせて俺の反応を伺う。
「可愛かったのに」
「…」
「俺はどっちの姫も好きなんだけどな」
両手が塞がってるなら好都合。
「またそうやって…キャッ!」
俺はモモを抱き上げて膝の上に座らし
…チュッ
「ちょ、ちょっと…」
…チュッ
「涼さん…」
顔を隠している手のひらにいくつものキスを落とした。
…チュッ
「…意地悪しないで下さい」
「意地悪なのはモモでしょ?いつまで顔を見せてくれないの?」
…チュッ
白くて小さな手を指で撫でながら何度もキスを贈る。
するとモモの降参したのか 俺の指に華奢な指を絡ませ
「ホント、世話のやける姫だな」
「だから…姫じゃないですって…」
真っ赤に染めた可愛い顔を見せてくれた。
「覚悟はできた?」
モモは小さくコクりと頷とゆっくりと瞳を閉じた。
「モモ…」
ぷっくらとしたピンク色した唇に引き寄せられるように唇を重ねる。
「ん…」
いつまでたっても慣れないキスをするキミを
「ベッドに行こうか」
「…」
やっと俺のモノにできる特別な夜
「ワァッ!あ、歩けます!」
やっと見つけた姫を愛することができる夜
「いいの。お姫様はおとなしくしてなさい」
ホント、可愛くて可愛くて仕方がないよ。