BLUE MOON
第5章 嫉妬
~♪~♪
「はい営業部、園田です」
…ったく
あれだけ言ったのに
「魚住課長~。3番に△□工業さんからです~」
俺の忠告を無視してモモは五十嵐と楽しいランチタイムを過ごしたようだ。
…わかってねぇな
出先からの帰り道、会社の近くで肩を並べて歩く五十嵐とモモと出くわした。
目を丸くし大きなため息を漏らす俺とは反対にモモはあっけらかんと笑顔で会釈しやがった。
五十嵐にはあれだけ気を付けろと言ったのにアイツは能天気というか隙がありすぎるというか…オジサンを困らせる天才である。
…勘弁してくれよ
今まで付き合った女に対して束縛だとか独占欲なんてものは微塵もなかった。
でも、今回は違う。
わざわざキミに逢いたくて必死に成果を出して大阪から東京本社に戻してもらったくらいだ。
「桃子さん、この会社の担当の方にアポとって頂けますか?」
それなのにキミって人は
「いいですよ」
俺に見せつけるようにイチャイチャしちゃって
「悪いんだけど…」
「わかってます、アポとれたらコーヒーお持ちしますね」
「サンキュ」
職場では二人のこと内緒にしようなんて提案を受け入れてしまったことを後悔してる。
そもそもどうして内緒にする必要があるんだ?
…なんて モモが五十嵐と仲良くしているのを見る度にいい年こいたオッサンは頭を悩ませてる。
あ~ぁ…
本気で女に惚れたのなんて随分と久しぶりだから感覚さえおかしくなったのか
PCの画面を見ながらイライラした自分の心に問いかけると
…コトンっ
「あ…」
…え
「お疲れ様です、よろしかったらどうぞ」
芳しい香りとともに視界に入ったのは華奢な白いいつもの手
「あ、ありがとう」
モモはペコリと頭を下げると五十嵐の席へとコーヒーを運びに行った。
相変わらず気の利くオンナだ。
コーヒーを一口飲むと不思議なことに心が少し落ち着く。
本当にキミが淹れるコーヒーは柔らかくてあたたかい。
でも…何かが違う。
もう一口飲みながらその“何か”を辿る。
「園田さん、ちょっといいかな」
「はいっ!」
いつも以上に大きな声で返事をするキミ。
五十嵐にはわからなくても俺にはわかる。
「なんでしょうか?」
だって、コーヒーをデスクに置いた華奢な指は
「モモ…どうした?」
小刻みに震えていたから。
「はい営業部、園田です」
…ったく
あれだけ言ったのに
「魚住課長~。3番に△□工業さんからです~」
俺の忠告を無視してモモは五十嵐と楽しいランチタイムを過ごしたようだ。
…わかってねぇな
出先からの帰り道、会社の近くで肩を並べて歩く五十嵐とモモと出くわした。
目を丸くし大きなため息を漏らす俺とは反対にモモはあっけらかんと笑顔で会釈しやがった。
五十嵐にはあれだけ気を付けろと言ったのにアイツは能天気というか隙がありすぎるというか…オジサンを困らせる天才である。
…勘弁してくれよ
今まで付き合った女に対して束縛だとか独占欲なんてものは微塵もなかった。
でも、今回は違う。
わざわざキミに逢いたくて必死に成果を出して大阪から東京本社に戻してもらったくらいだ。
「桃子さん、この会社の担当の方にアポとって頂けますか?」
それなのにキミって人は
「いいですよ」
俺に見せつけるようにイチャイチャしちゃって
「悪いんだけど…」
「わかってます、アポとれたらコーヒーお持ちしますね」
「サンキュ」
職場では二人のこと内緒にしようなんて提案を受け入れてしまったことを後悔してる。
そもそもどうして内緒にする必要があるんだ?
…なんて モモが五十嵐と仲良くしているのを見る度にいい年こいたオッサンは頭を悩ませてる。
あ~ぁ…
本気で女に惚れたのなんて随分と久しぶりだから感覚さえおかしくなったのか
PCの画面を見ながらイライラした自分の心に問いかけると
…コトンっ
「あ…」
…え
「お疲れ様です、よろしかったらどうぞ」
芳しい香りとともに視界に入ったのは華奢な白いいつもの手
「あ、ありがとう」
モモはペコリと頭を下げると五十嵐の席へとコーヒーを運びに行った。
相変わらず気の利くオンナだ。
コーヒーを一口飲むと不思議なことに心が少し落ち着く。
本当にキミが淹れるコーヒーは柔らかくてあたたかい。
でも…何かが違う。
もう一口飲みながらその“何か”を辿る。
「園田さん、ちょっといいかな」
「はいっ!」
いつも以上に大きな声で返事をするキミ。
五十嵐にはわからなくても俺にはわかる。
「なんでしょうか?」
だって、コーヒーをデスクに置いた華奢な指は
「モモ…どうした?」
小刻みに震えていたから。