オキナグサ
第6章 違和感
それから始まった交際も
見張られている、というより俺の中では繋がっているに近い暇さえあればスマホを眺める生活も
全く苦じゃない
どころか楽しくて
「おい加賀、お前最近休憩の度にスマホ見てるけど、恋人からのメールでも待ってんのか?」
同僚にこんなことまで言われる
「いや、今はメールを待っているわけではない」
メールの返信は終わってるが
聖くんは今まだ大学で授業中だろうから、返信がないのはわかってるんだ
ずっと場所が大学内から動かないし
スマホも弄ってない
最近昼休みはスマホを何かしら操作してるから、止まってるってことは多分合ってるだろう
それに俺も大学の時はこれぐらいの時間まで授業を聞いていた気がする
「ふふっ……」
「うわお前、連絡待ってるわけでも来たわけでもないのににやにやしてるとか、怖いぞ?」
いいんだ
こんなに幸福感を感じたのは久しぶりなんだから
もう明日は休日だけど
今週は早く感じたな
きっと、聖くんのおかげだろう
こんなに充実した1日を過ごしているんだから
あぁそうだ
明日休みなら聖くんを家に誘ってみようか
「……よし、午後も頑張ろう」
「なんだよ、結局彼女からのメールで元気だしてんじゃないのかよ?」