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オキナグサ

第6章 違和感


焦って言葉が出なくて
これじゃ言い訳してるみたいだって思って余計に焦って


告白したのかって聞かれた時にあまりにも怒った顔をしているから

変な嘘までついて


最悪だ

どうしよう


ただただ一生懸命に自分の気持ちを伝えるけど
なんだか届いていない気がして

別れるかって質問に、お願いだからもう少しと思った通りに口に出していた


握った手を、はらわれたらどうしよう


煩い心臓の音を聞きながら待っていた俺の耳に次に入った言葉は
予想外に穏やかに響いた


「朝陽さんは、俺のことどう思ってるの?」


だが、顔を見て

違う

と思った


違う

聖くんは、怖がってるんだ


本当は自分のことをどう思ってるのかわからない相手に、自分の条件を飲ませてまで交際することに
怯えてる

それは、自惚れかもしれないけど
聖くんも俺に少しでも好意があるってこと?


聖くん「も」?


俺は


柄にもなく常にスマホをチェックして
休み時間の度にいち早くメールを返して
今何してるのかって常に考えて

たった数日だけだったけど
そんな日が少しでも苦痛だっただろうか


いや、そんなことない


顔を上げると、普段は俺なんかよりよっぽど大人っぽく経験豊富に見えた聖くんが

漸く目の前にいるような
そんな気がした

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