オキナグサ
第6章 違和感
「好きだよ」
聖くんがパッと顔を上げて俺の方を見た
「俺は、聖くんが好きだ」
どれぐらい
とか
今はそういうのではなくて
ただ、自分の気持ちを素直に告げた
「……なんで」
なんで?
理由、必要なのか?
「だって俺……変、だよ。人の行動常に監視したりとか、今日だって、何もなければ本当はカメラとか付けに来たんだよ? そんな人いないよ。それと1週間付き合って、なんでそんな風に言えるの? ……わかんない」
それは前にも聞いたよ
ふふ、可愛いな
なんて、初めて思ってしまった
「ならきっと、俺も変なんだ。聖くんと同じ、聖くんが何してるのか常に気になって、友達としてる連絡すら中身まで見て不安になったりして。でもそれが、俺たちの普通なら、誰に迷惑をかけるわけでもないなら、いいんじゃないか?」
「……」
間近で俺の顔を見つめる、ほんのり頬を染めた聖くんが
「キス、したい」
と呟いた
そういえば今までしたことなかったな
俺もしたい
でも
こつん、と額を当てる
「だめ」
「なんで?」
だって
「俺は俺のことを好きな人と付き合って、キスしたいから」