オキナグサ
第7章 取り付けとお泊り
「朝陽さん、終わったよ」
「あぁ」
ベランダへの扉を開けて声をかけると、暇つぶし用に渡したスマホを弄るでもなく外をただ眺めていたらしい朝陽さんが振り返る
「すごいな。全くわからない」
「そう? よかった」
「まぁわかっても、外したりするわけじゃないが」
相変わらず積極的だなぁ
「で、カメラは聖くんの部屋にはつけてくれないのか?」
こんなところも
昔お前も俺の気持ちを味わえとか言われたことはあるけど、ほんとにこの人はただ見たい知りたいっていう感じだから
困るというかなんというか
「つけて欲しいならつけるよ。家にまだカメラあるし、見方は後でメールで送っとくね」
「あぁ。ありがとう」
少し嬉しそう
他人からの見た目なんて気にする必要はないけど、普通の人が見たらなんて狂気的な会話なんだってドン引きするところだよね
監視カメラ
GPS
うぅん、何度考えても普通じゃないけど
こんな風に穏やかにそれについて会話する日が来るなんて、思いもしなかったな
「そろそろ晩御飯にする?」
「少し早いが、用意はしないとな」
今日朝陽さんが作ってくれるんだよね
楽しみ