
オキナグサ
第7章 取り付けとお泊り
「これもう完成? 運んでいい?」
「あ、あぁ……」
カウンターに置かれた食器を指差しながら聞くと、少し驚いたような顔をされる
「? どうしたの?」
「いや、なんというか……」
顔に出てるよ
意外だったんでしょ、俺が声かけるの
料理が出来たかどうかぐらい気にしてるし、作らせちゃってるんださら運ぶのぐらいやるのに
なんでそこでそんな
嬉しそうな顔するのかな、この人は
「……なんでもない」
結局言ってくれなかったけど、言いたかったことはわかったから
「ん、そう?」
俺はあっさり引いた
「それにしても、すごい豪華だね? 」
「初めてなんだから、気合いぐらい入るだろう。それに、簡単なものばかりだ」
俺には難しいけど?
お肉に火を通してカチカチにならないだけで拍手ものなんだけど?
どうせ器用な人にはわかんないよーだ
美味しそうな匂いを嗅ぎつつそんなことを1人で考える
「これで最後?」
「あぁ。酒は……すまない。ビールとワインとウイスキーはあるが、そこまで量はない」
「なんで謝るの。十分だよ」
普通そんなにバラエティに富んだ酒常備してないよね?
