オキナグサ
第8章 嫉妬
「それは……許せないな……」
浮気なんて許せない
この世から消えればいいって思う
すぐ飽きる程度の好きで付き合うなんて、信じられない
そんなことあるわけないのに、朝陽さんで想像してハラワタが煮えくりかえるほど苛立つ
「しかも聞いてくれよ。俺が浮気されたと思ったら、本命はあっちで俺が浮気だったんだ……」
何か思い出したのか、魂が抜けたみたいに放心する佐倉
「何その人! 酷いよ!」
「皐月……」
「紀伊……ありがとう……」
真っ暗な雰囲気を醸しつつ「ははは」と力なく笑う
俺は男女の恋愛の常識なんてわかんないけど、本当にドラマみたいな浮気とかってあるんだ
「佐倉! 気分転換に今日飲みに行こう!」
突然そんなことを言い出したのは皐月
「紀伊……?」
「嫌なことがあった時は友達とパーっと遊び倒すものでしょ?」
あぁ、その笑い方
佐倉には女神に映ってるんじゃなかろうか
少なくとも俺には聖母のように見え……
「そう、だよな……そうだよな! 紀伊、美穂川、ありがとう! よーし、今日は飲むぞー!」
両手の拳を高く挙げてデカイ声で言う
え、俺も……?