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オキナグサ

第8章 嫉妬


「なんで……か」


俺が聞いてるのに、朝陽さんも首を傾げている


自分の行動なのに
わかんないとか、あるの


「急に、会いたくなったから、だろうな」
「会いたくなった……?」


なにそれ


じわ、と胸に広がる温かい気持ちは喜び、だろうか


「あぁ。連絡は貰っていたが、ずっと居酒屋にいるのを見てると……」
「見てると、なに?」


言いにくいから言葉を濁してるってわかってる
わかってるけど

どうしても
ちゃんと聞きたい


堪らなく嬉しいから


だから


「聞かせて」
「……っ」


気がついた時には朝陽さんの腕の中にいた


「俺じゃなくて、他の人と一緒にいるんだと考えたら、居ても立っても居られなくなったんだ」


耳元で囁くように言われた言葉に、喉が詰まる


あぁ、嬉しい
嬉しい

朝陽さん明日仕事だろうな

俺みたいな気ままな大学生活してる奴よりよっぽど忙しいんだろう

それなのに来てくれて
嫉妬、なんて

可愛すぎて


虐めたい


「……え……?」


そう思ったら、何故か身体が浮いて寝室へと移動を始める


夢か魔法かな、と思っていたんだけど当然そんなわけない

俺は朝陽さんに抱きかかえられていた

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