オキナグサ
第8章 嫉妬
目が潤んで、僅かな視界をボヤかさせる
もう何がなんだかわからない
「んー……っ」
子供みたい
なんでこんなに寂しいのかわからないけど
そんなことを考えていたら
「聖くん? 目を覚ましたのか?」
どこかから朝陽さんの声が聞こえた
ぼやぼやになった視界を遮るように人影が映る
朝陽さんだ
まだいる
よかった
「……っあ、さ……さ、ん」
「あぁ、喉が。待っててくれ、今飲み物を……」
「……っ」
俺が寝かされてるところの横にせっかく着てくれたのに、すぐさま離れていこうとする朝陽さんを縋るように袖を掴んで止めた
本当は腕を掴んだつもりだったんだけど、手が言うこと聞かなくてゆっくり動いたせいで袖しか掴めなかった
「? どうした?」
まだそっち行かないで
もう少し側にいて
言葉が出なくて、どうしようと悩んでしまう
「……」
「……」
「あぁ、そうか」
でも朝陽さんには何でか伝わったらしくて
「よっ……と」
布団に包んだまま俺を抱き上げた
うわ、すごい
そのままソファに移動させられて
一瞬離れた朝陽さんが手にコップと飲み物を持ってきた