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オキナグサ

第9章 狂嫉


あれから数日
朝陽さんのスマホの履歴には、たくさん並ぶ俺との着信履歴の合間に「日高」の名前が入るようになった


会社の先輩か


「ねぇ朝陽さん、この日高さんの顔写真ってないの?」


俺がこんなこと口にしたら、今までの恋人は「心配しすぎだよ。そいつとは何もないって」なんて返ってきたけど


「そんなに心配なら電話やメールもしないし、連絡先も消していいぞ?」


朝陽さんからはこんな返事が返ってくる

そのことにすごく満足だし
安心する


「会社の人は仕方ないよ」


本当は消して欲しいけど


「でも、どんな人かぐらいは知っておきたいなって」


仕事場で不自由させたくない

それにこうして表立って連絡してくれるうちは、影でコソコソされる心配もないしね


監視カメラの内臓マイクで着信のあった電話は全部聞かせて貰ってるし


「紹介しようか?」
「職場の先輩に同性の恋人なんて紹介して噂になったりしたら大変だよ」


本当、積極的で可愛い
嬉しい


けど理解が進んできてるとはいえ、仕事減らされて事実上クビになる会社だってまだ少なくないからだめ

俺が仕事して十分稼げるようになってからは、どうなったって養ってあげるからいいけどね

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