オキナグサ
第9章 狂嫉
まっすぐ駅の方向かな?
まぁ優等生っぽい顔してるもんね
このまま家に帰ったところで安心ってわけじゃないけど
電車は……朝陽さんちと反対方向かな?
まぁ俺みたいな変態はそうそういないだろうし、狙ってる男の近くに部屋借りるとかそうそうしないか
って、あれ
ここで降りるの……?
だってここって
俺がよく来てた駅
なんだけど
いやいや
そうそうゲイなんていな……
そこは、ゲイバー、だけど
マジか
完全に危険物件だった
俺もよく来ていたゲイバーに入って行った日高さんに、げんなりする
これは本当に朝陽さん狙いってこともあるんじゃない?
うわ……最悪
長い間店の近くで待機して、日高さんが店から出て行ったところで入れ違いに店に入った
「あらぁ? ミホちゃんじゃなーい。久しぶりぃ」
「久しぶり、ママ」
夜中でも関わらずにテンションの高めなママと向かい合うようにカウンターに座る
「ねぇ、今階段ですれ違ったイケメンってここのお客?」
実際には顔を見られないように動いてたからすれ違ってはないんだけど、これぐらいの軽い嘘ぐらい許されるよね?
「イケメン……って……あぁ、京ちゃんのことかしら?」