オキナグサ
第9章 狂嫉
京ちゃんなんて呼ばれてるってことは、結構常連なのかな?
がっつりゲイじゃないか
「イケメンよねぇ、京ちゃん」
「誰かお持ち帰りするでもなかったみたいだけど、恋人でもいんの?」
「あら? あらあらあらぁ? まさかミホちゃん狙ってる?」
目をキラキラさせるのやめろ
まっっっったくそんなんじゃない
「京ちゃんはダメよぉ。今狙ってる子がいるんですって」
これはもう
完全に
俺はがっくり項垂れる
「でも、ミホちゃん京ちゃんとバーで会うの初めてじゃないわよ? 今更気になったの?」
「え……そうだったの?」
タイプじゃないから見逃してたか
というかそしたら俺、もしかして日高さんに顔割れてる?
ストーキングしてるのバレて粘着質なゲイだと思われたら困るな
いや、粘着質なのは否定できないけど
「で、日高さんが狙ってる子の特徴とか知らないの?」
わざわざゲイバーに来て誰を誘うでもなく喋って帰るなんて、相当だな
「んー……可愛い人、としか聞かないわねぇ」
「可愛い人」
もうダメだ
何聞いても朝陽さんにしか思えない
だって可愛いもん、あの人
「はー……」