オキナグサ
第9章 狂嫉
もしや今帰りがけに朝陽さんに連絡してたりすんのかな……って、俺そういえばスマホ置いて来たんだった
早く帰らないと朝陽さんに心配かけるよな
「ごめんママ、帰るわ」
「えー!? こんなに早く?」
一杯しか飲んでないけど、その分のお金をカウンターに置いて鞄を持つ
「ごめん。また来るからさ」
「もぉ。絶対よ?」
ママはムスッとした顔をしつつも俺にこんなことを言う
こういうところ、上手いよね
また来ようって思う
今度は朝陽さん連れてね
家に帰り着くと、スマホがチカチカ光っていた
「わっ……電話、電話」
走って中に入り、急いで通話ボタンを押す
「はい、もしもし!?」
急いでたから、ちょっと叫ぶみたいになっちゃったのは仕方ないよね
『聖くん?』
「あぁ、朝陽さん」
電話してくれたんだ
なんか嬉しいな
そう思っていると、次の言葉に一瞬驚かされた
『コンビニかどこかへ行ってたのか?』
「へ……? なん、で?」
俺がいなかったこと知ってるの?
いや、ただの勘か?
『何度電話しても出なかったから……』
「あー、ごめん。スマホ忘れて買い物行っちゃって」