オキナグサ
第9章 狂嫉
昨日の反省を活かして、じゃないけど
今後は日高さんをストーキングするのもちゃんとスマホは持ってきている
にしても
今度はそっちの店か
ゲイバーが軒を連ねる怪しげな一帯で、何故か俺の馴染み深い店ばかりを訪れる日高さん
結構俺と行動範囲被ってたんだなぁ
これは本当に、顔割れてるのかも
明日は休みだからかハシゴして行ったんだけど、そこすら俺の馴染みの店で
これはもはや運命だよ
なんて思いながら店の外でげんなりした
っと、スマホ鳴ってる
「!」
朝陽さんだ
「はい、もしもし?」
『聖くん? 今大丈夫か?』
俺が外にいるの確認してからかけてきてくれたのかな
「うん、大丈夫だよ。飲みに来てただけだから。仕事終わったの?」
『あぁ』
「そっか、お疲れ様」
他愛もない会話だけど、ちょっと顔にやけるな
嬉しくて
ぽつぽつ会話を続けていると、日高さんが店から出てきた
あ、出てきた
ってうわー、やば
少し離れたところに、雑踏に紛れて佇んでいた俺は少し身体を縮める
それなのに
「!」
なんでかバッチリ目が合った
尾けてるの気づかれてたとか?
いやいやそんなわけ