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オキナグサ

第9章 狂嫉


内心の焦りとは裏腹に、平然とした顔で自然と目を逸らし会話に集中する


「ーーうん、いいよ。じゃあ……」


まだ見てる?
いや、もう駅の方に歩いてったな


び……っくりした


『俺は30分ぐらいだから、また後でな』


俺が朝陽さんの家に遊びに行くって話だったよね


「うん。また後でね」


ふー……やばいやばい


なんであんなに人がいる中で目立つ格好してるわけでもない俺のことあんなに見てたんだろう

やっぱり朝陽さんの恋人だって知られてたのかな


でも、とりあえず今は朝陽さんとの約束が優先


俺はその辺の自販機で適当にアルコールを買ってぐびぐび飲みながら駅に向かった


飲みに来たって言っちゃったし、ちゃんと証拠を残しとかないとね


よし、行くか


突然飲んだせいで頭が痺れるような感覚になったのを、頭を振って払い駅に向かった



待ち合わせ場所として決めていた朝陽さんの家の最寄り駅

そこで待っていると


「あれ、君は……」


と話しかけられた

ギクッと肩が跳ねたのは、さっきの記憶で日高さんだと一瞬思ったから

でも振り返ってそこにいたのは


「……岩橋、さん……」

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