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オキナグサ

第9章 狂嫉


とか言いつつまた俺の手を取って撫でるのはどうして……?


っていうか、俺の行きつけのバーにばっかり行ってるな、と思ってたのは気のせいじゃなくて俺を探してたからなの?

ストーキングしてると思ってた人に実はストーキングされてたみたいな?


それは…………怖い


「……っ」


朝陽さんが俺をもっと自分の方に引き寄せて、日高さんの手の届かないところまで移動させられる


「どうしても、ダメか?」
「ダメですね」


今日はこれで帰る
横恋慕だった

あのセリフはなんだったのかってぐらいに、諦め悪く俺へと視線を向ける日高さん


そんな俺を背中に隠して、朝陽さんは日高さんに向かい合っている


視線が合ってバチバチ火花を散らす演出って現実感ないなって思ってたけど、意外とあり得そうだと思えるぐらいには朝陽さんと日高さんの視線のやりとりが激しい


なんでこんなことに……


そこで、ママがおしまいと言うように手を叩いた


「はいはい、その辺にしてちょうだい。他のお客様にも迷惑だわ」
「あぁ……申し訳ない」


そう言われるとケロッと謝る日高さん


「これ、お詫びに」


そう言って、一杯もお酒を飲んでいないのにカウンターにお金を置いた

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