オキナグサ
第10章 安定と安心
あれから俺は数日間朝陽さんの家で暮らしている
大学はもう単位も殆ど足りてるし、足りない分は4年生で取ったっていい
「俺が養ったって構わない。むしろ、その方がいいかもしれない」
朝陽さんにはそんなことを言われて、毎日トロトロに甘やかされて過ごしている
スマホは取り上げられてしまったから、連絡は誰とも取れない
佐倉と皐月には心配かけてるかもしれないけど、それと朝陽さんを不安にさせるのとじゃ比べ物にならない
拘束生活も慣れてきた俺
だけど、1つだけまだ慣れないことがある
「……」
トイレだ
俺の足につけられてるチェーンはリビングまでしか行くことが出来ない
俺が監禁されてる部屋はリビングの横にある納戸の中だから、部屋から出てちょっとうろうろ出来る程度
それだと、廊下の方にあるトイレには行けなくて
「ねぇ朝陽さん、このチェーンもう少し長くならない?」
「どうして?」
「トイレ行けないから」
そんな会話をしたのが監禁されてすぐ
たった数日前のこと
そして「あぁ、そうだったな」と返事をした朝陽さんが工具でも持ってきてチェーン繋いでくれるのかと思ったんだけど
「ちゃんと買っておいたんだ」