
オキナグサ
第2章 お礼
素直な感想だったんだけど、アサヒさんは目を見開いて顔を赤くした
「き、れい……って」
なんでそんな意外そうな顔してるんだろ
真っ黒な髪はサラサラだし
背も低くない
顔は雑誌とかに載ってそうなレベルでは整ってる
おまけにそうやって無自覚に可愛い顔されたら、おっさんは勘違いしたりするのかもね?
俺はおっさんになったことないからわかんないけど
「綺麗な顔してるよ。自覚ないの?」
目尻に涙
乾いてくっつくと剥がす時痛いから
ちゃんと拭わないと
尚も真っ赤な顔をしているアサヒさんの頬に触れて、涙をそっと指で掬った
「ミホさんは……あの時と随分違い……ます、ね……」
「そう?」
言葉責めしたりしたことを言ってるんなら、普段からずっとそんなんなわけ無いだろ
とは思う
「ん……優し、から……」
んん……んー……
そういう感じだからあのおっさんも勘違いしたんじゃないかなー……
「アサヒさん」
「なに」
前に会った時はもっと硬い感じの喋り方だったのに、今日はなんか丁寧語と混ざってるしなんかほわほわしてる
「もしかして酒、弱い……?」
「強くは、ない……」
