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オキナグサ

第2章 お礼


無自覚って罪だなー……


そもそもあの日自分がゲイなのか確かめたいとか言ってたんだから、ほぼノンケで耐性ないってことだよね

おっさんが可哀想にも思えてきた


いや、無理強いはどうあってもダメだけど


「はー……まぁいいや。落ち着いた? 送ってくから、帰ろっか」
「……ん……」


おっさんにもそうやって素直に頷いてたんだとしたら問題だよ、そりゃ


「今後はもうちょっと気をつけないとね」
「なに?」
「いや、なんでもない」


大学生の俺がサラリーマンを送ってるのって図的にどうなんだろう

まぁいいや
少しの辛抱だ

駅まで送って、まだこの時間ならバーとか行けばいい人拾えるかもしれない


「!……っと」


考え事をしながら歩いていると、突然服の裾を引っ張られて止まらされた

振り返ると俯いたアサヒさん


「どうかした? トイレ?」


嫌だよこんなところにトイレなんてないし
コンビニより駅の方が近いから我慢してほしいんだけど


「ーーーーー……ない……」
「え?」


聞こえなかった

もう一回


「……帰りたくない」
「…………は?」


そんなこと言われても困る

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