
オキナグサ
第2章 お礼
帰ってもらわなきゃ、俺が遊びに行けないんだけど
「いや、じゃあどうするの?」
ビジネスホテルとか予約して、そっちに泊まる?
「……」
俺の服を掴むアサヒさんの手に力が入る
嘘でしょ
嘘って言って
そもそも俺この人のお陰で体調悪くして、ご無沙汰だったんだけど
それを発散しようとしたら
え
なんで
嫌だよ
それに俺、セフレは家に入れない主義なんだけど
な
「泊めて、ほしい……」
「………っ」
あぁぁぁ……やっぱり……!!!!
「嫌だ」
「おねがい」
「嫌だ」
「おねがい」
「嫌だよ」
「しゅくはくひ、払う」
酔っ払いから言質取って金貰うほど酷い人だと思われてるの?
やばすぎる
「おねがい」
もう
その捨てられた犬みたいな目やめてよ
「……」
「……」
「……」
「…………わかったよ」
「!」
はぁ、その嬉しそうな顔
本当、そういうところだからな……!!!
おっさんを勘違いさせたのは!!!
ヤケクソで近くを通ったタクシーを止めて乗り込んだ
タクシー代は絶対出させる
ここからだと安くはないし、罰当たれ
「すみません、ーーーーまで」
「はい。ドア閉めます、お気をつけ下さい」
