オキナグサ
第3章 素敵なホテル
「勘当された……のか」
「そうだね」
めんどくさい空気
だから嫌なんだよ
別に大したことでもない
というか、気にもしてないのに
「…………」
「……」
手止まってるよ、なんて
言い出す雰囲気じゃないよね
「はぁ……別に、言わなくたっていいんじゃない? 自分の性的嗜好の話なんて、親が知らなきゃいけないわけじゃないでしょ」
ロリコンだろうが巨乳好きだろうが親には言わないのに、同性愛者だと言わなきゃいけないなんてことはない
「……だが、隠し事があるというのは……」
「ペロッと言って追い出された俺が言うのもなんだけど、性的嗜好なんてものはそもそも隠してナンボのものでしょ。子供がどんなものに興奮するとか、知りたくもないよ、普通」
「確かにそうかもしれない、が……」
が、とか、しかし
は良くないよね
「じゃあ言ったら? そこまで後ろめたい気持ちがあるなら言った方が楽になるんじゃない?」
「……」
黙っちゃった
俺こんな重苦しい雰囲気のまま部屋行ってセックスなんてする気分になれないんだけど
ていうかそもそもなんで俺がこの人の相談役なわけ
妙に懐いてくるなよ、もう