オキナグサ
第3章 素敵なホテル
「それと、そうやってうじうじ悩んでる時は大体納得のいく答えなんて出ないよ。仕方なく結論を出すぐらいなら、すっきり決められるまで保留にしといたら? こんなこと、俺より人生経験の豊富なアサヒさんに言ったって仕方ないけど」
もういい
アサヒさんの話聞くのやめよう
あーこれ美味しい
名前も知らない白っぽい野菜
海老のソースも合うし
考えるのをやめて目の前の食事を味わうけど、視界の端に映るアサヒさんの手は止まったまま
もー……いい加減に……
して、と顔を上げるとアサヒさんは呆けたように口を開けたまま俺を見ていた
「……なに?」
「あ、いや……感心してしまって……」
かんしん
「いや、すまない。それだと上から目線にも聞こえるな……そうではなくて……単純に、ミホさんの考え方をすごいなって思っただけなんだ」
「すごい……?」
アホみたいにさっきからアサヒさんの言葉を繰り返してるけど、だって本当に言ってる意味がわかんないんたもん
感心とか、すごいとか
言われたことなんてないし
「考え方がすごくしっかりしていて、大人だと思ったんだ。人生経験とかそんなこと関係なく。俺の考え方がまだ幼くて浅いということを思い知らされる」
「そんなことないと思う、けど……」