テキストサイズ

絡み合う糸

第1章 絡み合う糸






「伊野ちゃんてさ、俺のこと大好きだもんね」




それは友達として?

…………仲間として?

だいちゃんのことだから、深い意味なんてないよね。

だから淡い期待なんてしない。

傷つくのヤダもん………




「うん、大好きだよ」




俺にとってだいちゃんは、大切な特別な人だから。




「伊野ちゃんが…俺に依存してたのは分かってたよ…」

「えっ…」




ゴクリと生唾を呑む音が、聞こえたような気がした。

だいちゃんが何を言おうとしてるのか、
俺には分からないけど、嫌な予感しか想像できない。




「分かりやすいんだよ、伊野ちゃんは…隠してるつもりだったの?」




心臓が止まるかと思った。

恋愛対象としては見られてないてことは、分かっているから、

だいちゃんに嫌われてしまうのが、怖くて言えないの。




「それて…どういう意味…?」




声が震えてたかもしれない。

バレないように蓋をしてたのに、だいちゃんは気づいてた………




「俺のこと…好きなんだろ…」




言ってもいいの?

俺はずっとだいちゃんのことが、好きだった。

たった一言の好きが言えなくて。

ぐるぐると思考回路が、パンクしそうになる。




「お、俺は…だいちゃんのことが…「バカなんじゃないの?」

「えっ…」




遮られただいちゃんの言葉は、冷たいものだった。

目の前が真っ暗になるって、こういうことを言うんじゃないのかな…




こんなの…

俺が知ってるだいちゃんじゃない。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ