Cat Rabbit~猫と兎の愛の日常~
第1章 元旦じゃなくてもいい~二人でいるだけで~
「店長の手、冷たいですね……」
22:00を過ぎると公園にはさすがに人影がない。カヅキちゃんがふと私の手を握る。カヅキちゃんの手の温かさ。その瞬間に堪えていたものが止まらなくなる。
「ちょっ……?! 店長!! どうしたんですかぁ??」
「結局、元旦に来れなかったし、人混みも苦手だから初詣じゃなくて公園だし、もう、もうっ……私のせいで、ホントごめんねッッ」
「そんなことないですよ。店長が私の為に時間を作ってくれる。それだけで私は十分、嬉しいです。いつもお疲れ様です。そして、ありがとう」
カヅキちゃんは、私を見て、微笑んで、手を繋いでいない方の手で涙を拭ってくれる。
「カヅキちゃん……うぅ~~」
止まらない涙にカヅキちゃんの手から流れ落ちる私の涙。
カヅキ「もぉ~~ほらっ、店長、笑って!! 店長は、笑った顔が一番です」
ニーッ!! カヅキちゃんは、そう言って、笑顔をしながらの変顔を私に見せる。
「ぷっ~~なにそれ~~!! うん、でも、ありがとう!! 元気になった」
私達は、にーっ!!っとお互いに笑い合う。
「カヅキちゃん」
「店長」
「今年も、今年だけじゃなく、来年も再来年もずぅぅっとよろしくね(お願いします!)」
カヅキちゃんのことを好きになれて本当に良かった。元旦とか元旦じゃないとかクリスマスとかクリスマスじゃないとか、そんなことは、どうでもいい。二人でいれるそのことが私の幸せなんだ。
【ずっとカヅキちゃんとのこんな日々が続きますように】
2017年1月3日、早朝の神社の絵馬にこう書き残した。
『元旦じゃなくてもいい~二人でいるだけで~』fin.