完璧な駄犬と憂鬱な秘書
第4章 丸井さんの話し
――――…
「…、香織――――…」
ホテルのスイートルーム…
閉ざされた空間の中で…鉄也さんは、私の話を黙って聞いてくれた――――…
時おり…息を飲む彼の微かな動揺に…私の胸は引き裂かれそうだった
「――――…そんな事が…」
「ごめんなさい……私の過去が…貴方や会社を傷つけてしまう――――…」
私は鉄也さん顔を真っ直ぐに見ることが出来ない…
怒っている?
悲しんでいる?
軽蔑している?
どんな顔でも――――…私と彼との間に大きな溝が出来たのは確か
やっと――――…掴みかけた幸せが…掴んだそばからポロポロとこぼれ落ちていく…
幸せは…水――――…
私には…掴めない…