
完璧な駄犬と憂鬱な秘書
第9章 実周室長と財前さんの話し!
「――――…俺のことはよく分かってるのに…肝心な所は分からないもんなんですね…卓郎」
――――…肝心な…所…
「――――…財前…なんで――――…
なんで…あの時…
俺にキスなんかしたんだ――――…?」
間が――――…怖い…
あの時――――…考えても考えても答えがでなかった…
信実――――…財前の口から…知りたい…
「卓郎――――…知らなくていい…
それより、そんな事は早く忘れて可愛い奥さんでも作ったらいいのでは?
行き遅れなんて、卓郎の両親が悲しみますよ?孫の顔とか見せて…親孝行してください」
財前はフッと片方の高角だけ上げて笑うと、手酌で冷酒をお猪口に注いだ
