
完璧な駄犬と憂鬱な秘書
第9章 実周室長と財前さんの話し!
「――――…親孝行か…生きているうちに出来たら最高だったかもな…」
「――――…?」
俺は財前が注いだお猪口を取り返してグイッと一気に飲み干した
「――――卓郎…、」
「俺の両親は、二人仲良く天国で余生を過ごしてるよ…
財前…知ってるか?交通事故ってさ、宝くじが当たるより…確率的高いんだぜ?」
「――――…」
財前は、なにも言わなかった…
知らなかったのも当然だ――――…大学の時は両親は健全だったし仕送りの話とかしていた
財前とは、実家から送られてくる野菜で鍋とかしたもんだったから…
今でも、元気に…俺の健康を気遣って野菜とか送ってるとでもおもったのだろう…
「財前が俺の前から…いきなり居なくなって――――…程なくしてかな?
大学の卒業確定と就職先は、知らせてたから、それくらいかな…
就職浪人しなかったのが、せめてもの親孝行……って所かな?」
財前は、空になったお猪口を見つめ…ただ…黙っていた
「――――…それに、“そんな事”とか言うなよ…今でも引きずるぐらい――――…俺的に最大の疑問なんだから…」
