完璧な駄犬と憂鬱な秘書
第9章 実周室長と財前さんの話し!
「――――嫌だったろ?男に…俺にキスなんかされて…」
財前は、困ったような顔で俺から視線を外した
「?――――…嫌じゃなかったから…
嫌じゃなかったから…こんなにモヤモヤしていたんだ!この気持ちを…どうしたらいいか分からないまま…ここまで来てしまったぐらい!
嫌じゃなかったから!…この年まで…財前を引きずって…いるんだよ…」
「――――…俺は…男も愛せる…男です…だから、普通の世界じゃ息苦しいんです…
卓郎は…普通に生きてほしい――――…」
「財前……俺だって…もう、いい年だ――――…何も知らなかったウブな大学生じゃない…
財前――――…いま、この年で再会したことには…意味がある気がしてならない――――…」