テキストサイズ

背中に。

第1章 出会いは飲み屋で

当たり障りのない自己紹介をしてわかったことは、彼らは自分達より年下で学生であると言うこと。


名前は朝妻一輝と若山理
大学院生で地方出身。学部は違うけれど住んでいるマンションが同じで一緒に飲みに行く仲らしい。


「同い年か年下かと思ってた」


そう第一印象を言われた綾菜は、少しショックを受けていた。


しかし「これじゃ仕方ないのかな」とも少しながら感じていた。童顔な家系であり、仕事がある日はラフな格好をしている綾菜。


ジーンズにフルジップパーカー、スニーカー。


仕事の時には最低限の化粧しかしない為、年相応に見られる事はあまりなかったのだ。


「匂いフェチなんだよねー」


そう言ったのは一輝


何フェチかと話題が上がり、躊躇っていた一輝を3人で聞き出した答えだった。
和室や蚊取り線香の香りが好きだと言い変な目で見られると思いきや


「わかる!あと線香とか仏間の香りも好きだな」


言ったのは綾菜。


趣向が似ているのか、残りの2人を置いて話が盛り上がり始めた時ふと携帯に視線を落とした理が言った。


「わっ!こんな時間だったんだ。そろそろヤバくないか?」

「本当だ...いつの間に...」


各自、携帯を見るとディスプレイには朝の4時半が表示されている。

外は明るくなりかけて人なんていない。


会計を済ませ店を出ても帰る気分にはなれずその場にいた。


「アドレス交換しちゃいなよ」

言ったのは望実で綾菜は一輝と、場の流れで望実は理と連絡先を交換した。


彼らと別れての帰り道、連絡先は交換したものの、これから先つかうことはないだろうなぁと綾菜は思った。
エモアイコン:泣けたエモアイコン:キュンとしたエモアイコン:エロかったエモアイコン:驚いたエモアイコン:素敵!エモアイコン:面白いエモアイコン:共感したエモアイコン:なごんだエモアイコン:怖かった

ストーリーメニュー

TOPTOPへ