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好きにさせて

第9章 理由


『これからお店出ます。
先に寝ててね』

茜から
次のメールが届いたのは
11時半

先に寝ててと言うのは
俺が明日の朝
6時過ぎには出勤することを
知ってる茜の
優しさや

けど
寝られる訳ないやろ

心配で心配で
仕方ないんやから


しばらくして
インターホンが鳴り
玄関を開けると
少し疲れた顔をした茜が
立っていた


「ごめんね…こんな時間…」

「ええから早う入れ。
どした?疲れてんのか?
大丈夫か?」

「平気」

茜の口数は少なく
やっぱり元気がない

俺は茜の手を引いて
部屋に入り
茜をソファに座らせて
優しく抱きしめた


「お疲れさん。
来てくれて
ありがとうな」


迷惑かけてると思うてる
茜への先制攻撃や

それでも
茜は
俺に抱きしめられたまま
何度も
「尚はもう寝なきゃ」
とか
「もう遅いから」
と、俺の腕から
すり抜けようとした


「寝られる訳ないやろ?」


「……」


「心配で寝られへん」


「……ごめん」


「茜」


「?」


「お前ももう
寝たほうがええ」


「あ、尚っ」


俺は有無を言わさず
茜を抱き上げて
寝室へと向かった

少し

茜の身体が
熱っぽく感じたからや

抱き上げる時は
軽く抵抗してたけど
俺が歩きだすと
茜は静かになり
ベットに下ろす時には
少し
ぐったりとしていた


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