好きにさせて
第9章 理由
茜をそっと
ベットに座らせ
俺は茜が置いてある
部屋着を準備して
茜のシャツのボタンを外しはじめた
「具合悪いんと違うか?」
「ちょっと疲れてるだけ。
尚、自分でやるから…」
「わかった。
ほな飲むもんでも
取って来るな」
そう言って
俺は冷蔵庫から
スポーツドリンクを手に取り
寝室に戻ると
茜はちょうど
着替えが終わったとこみたいやった
茜に
スポーツドリンクを飲ませて
横にならせ
俺は膝をついて
茜に添い寝し
茜のおでこに手を伸ばした
「熱は…ないみたいやな」
「うん」
「仕事、忙しかったんか?」
「…ううん」
仕事が理由やないことなんか
ほんとはわかってるけどな
理由はひとつしかない
多分
親父さんのことや
「お父さんの具合が悪くて
しばらく看病してたから
ちょっと…疲れちゃったみたい。
もう元気になったから
今日は
帰りたくない」
「そぉか。
ほな、好きなだけ
おったらええ」
「ひどいよね…私」
「なんもひどないで。
看病してあげてるんやし
それに親なんか
ずっと一緒におったら
誰やって面倒くさなるもんやしな。
そんなこと考えんと
もう寝たらええ」
「尚…」
「ん?」
「ご両親、元気?」
「うるさいくらい元気やわ(笑)」
「子供の時
優しくしてもらって以来
会ってないね」
「せやな」
なんで急に
そんなことを言い出したのか
謎やったけど
茜を早く寝かせたくて
俺は茜を抱きしめて
目を閉じた
俺が寝たふりしたら
茜も
寝てくれそうな
気がしたからや
「明日
俺が早う起きても
茜はゆっくり寝ててかまへんし
好きなだけ
ここにおってええからな」
「…うん」
「おやすみ」
「…おやすみ」