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好きにさせて

第9章 理由

恋人でもない男のもん
握らされても困るよな

優しいから
茜は文句言わへんけど
そう思うと俺は結局
軽く触ってもらう以上のことを
今でも茜にさせられへんままなんや


「ごめんね」


「ん?何が?」


「いつも…ちゃんとしてくれてて」


あ〜…ゴムのことか


「ええねん。
万が一の心配を
茜にさせたないだけや」


俺は…
その万が一がきっかけで
茜と結婚できたら
最高なんやけど


「……うん」


「今日は大丈夫とか
そーゆーのもええから」


「え?」


「そんなん
100パー大丈夫かどうか
分からへんのやろ?」


「…あ…うん」


「前に付き合うてた子が
それで心配してたことあんねん。
結局大丈夫やってんけどな。
せやから…」

ほんまの恋人でもないのに

「茜に心配させたないし
俺十分気持ちええし(笑)」


茜は
何故か唇をキュッと噛んで
少し
悲しそうな顔をしてから
俺に抱きついた


「どした?」


「ううん」


「そぉか。
肩…冷たいな」


俺に抱きつく茜の肩は
少し冷たくなっていて
それから俺は
茜と一緒に
肩まで湯船に浸かり

ゆっくりと
話を続けた


「尚…」

「ん?」

「前の彼女って
どんな人だったの?」

「ん〜…
まぁ優しい子やったなぁ」

「どうして別れたの?」

「俺の仕事が忙しいからかなぁ…
まぁ理由はそう言うてたけど
なんか気に入らんことがあったか
他に男ができたんかもしれへんな」


「そう…」


「茜は…
どんな旦那やったんや?」


「ん〜……」


茜の
ん〜…は
結構長く続いていた

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