好きにさせて
第9章 理由
「あ、せや」
「ん?」
「茜、浴衣着てくれや」
俺も茜も
着慣れない浴衣が
煩わしくて
まだ浴衣には
手を通してなかった
「そうね、せっかくだし。
じゃあ、あっちで着替えてくるね」
もう
ここで着替えたらええのに
何回裸見られたら
慣れるねん
と、思いつつも
茜のしたいようにさせて
俺も浴衣に着替えた
「お待たせ、どう?」
「あーええなー」
「どうええの?(笑)」
「エロい(笑)」
「もう(笑)」
髪を軽く結って
浴衣を着た茜は
俺が昔見た
色っぽい茜のお母さんに
面影が似ていた
「おいで」
景色の見える窓際に立ってる俺が
茜を呼ぶと
少し照れながら
茜は俺に近いづいた
「茜のお母さんに
ちょっと似てて
色っぽいわ」
「ほんと?」
「あぁ。
うる覚えやけどな」
「嬉しいな…」
「そおか?」
「うん。
お母さんの着物姿
好きだったから」
「よう似合うてるし
めっちゃ…運動したなる」
「もう(笑)」
「いや、ほんまに」
俺は
茜を優しく抱きよせ
俺の好きなうなじを
優しく撫でると
茜が俺を見上げ
俺の顎髭に
鼻をすり寄せて笑った
「可愛らしいなぁ…ほんま
キスして欲しいなら
そう言えばええのに」
「……っ…」