好きにさせて
第12章 嘘
嬉しい
大好きやった茜に
好きと言われたんや
嬉しいに決まってる
けど俺は
夢にまでみた
茜の告白に
戸惑い
茜に触れていいのか
迷っていた
「これ…
抱きしめてもええ
場面か?」
多分
あまりにも唐突で
信じられへんかったからや
「…ごめんなさい…」
俺が
すぐに抱きしめなかったからか
俺が
嬉しいと
言わなかったからか
茜は俺の質問に答えることなく
ごめんなさいと言いながら
うつむき
身体を小さくした
「怒ったりしてないんやで?
茜に好き言うてもろて
嬉しいんや。
けど…
教えてくれるか?
そやのに
なんで
ちゃんと付き合うて
くれへんかったんや?
なんで
恋人のフリ
やめてしもたんや?」
「尚が…
私と付き合ったら
不幸になるから」
「なに言うてんねん
俺は
恋人のフリだけで
あんやに幸せやったのに」
「尚を
悲しませたくなかった」
「せやからなんで
俺が茜と付き合うたら
悲しむねん」
「私…
私…っ…
…うっ…
子供…産めないの…」